2017年1月24日火曜日

非常勤のデメリット

大学の非常勤はようするにアルバイトなのだが、仮に1コマあたりの給料がよくてもコマ数をこなさない限りなかなか生活はできない。加えて勤務先までの移動時間(往復)、予習復習、課題添削やテスト作成の手間を考えると全然割に合わない。たとえば、このテーマなら一切予習をしなくても即興で授業ができる、というような人でない限り初めての非常勤先でうまい授業をすることは不可能なはず。したがって、初めて教壇に立つ人の場合は稼ぐよりも時間のロスが大きい。

非常勤先にはおそらく非常勤講師控室というものがある。そこでの人間関係が良好ならいいが、場所によってはお互いがライバル同士で足を引っ張り合うようなところもあるかもしれない。直接的な被害を受けないとしても、そういった場所にいることのストレスはおそらく、帰宅して勉強しようという意欲を殺ぐことになる。業界の醜いものを目にしてしまった、という暗鬱たる気分は研究者としての道をあきらめさせるかもしれない。

また、授業がうまいという評判が立って当初よりも多くのコマを担当させられたり、案外自分の専門ではない授業をさせられることもあるかもしれない。授業をすることは経験としてメリットだが、冷静に考えれば、もっとするべきことはあるはず。常勤の先生がしたくない(面倒くさい、厄介)授業を非常勤に振ってくることが多い。個人的な経験だが、新入生対象のオリエンテーションで非常勤なのに参加して説明をさせられたことがある(常勤の先生は参加せず)。今思えばあり得ない話だ。

さらに、外国に調査研究に行かなければいけない分野の人の場合、どうしても時間、期間の制約が出来てしまう。したがって、教歴を積むことよりも現地調査の方が重要であるなら、非常勤など比較するまでもなく却下だ。研究にまい進したほうがずっといいに決まっている。