2017年1月20日金曜日

大学院進学前に考えること(1)

学部で卒業論文を作成し、学位を得るのと平行して大学院への出願をするのが一般的だ。しかし、いったん就職などをして仕事をしたあとに再び大学院に戻るという場合も少なくない。往々にして後者のほうがモチヴェーションは高く、しかし実力はちょっと低い。

卒業論文を書くということを楽しめた人は、研究が楽しかった人だ。まだたいした研究はしていないが、研究の真似事をして、向いてるかもと思った人だ。ただし、本当に向いているかはまだわからない。

苦労して卒論を書いた人、指導教員を困らせながら卒論をぎりぎりで提出した人は大学院に進んではいけない。その人は研究が好きではないし、大学教員にも向いていない。

願わくば卒論がすばらしいクオリティであるべきだが、卒業論文は業界的には誰も読んでくれないので(たまにすばらしい論文がそのまま学会誌などに載るレアなケースはあるが)、書き捨て。それは就職試験の際に出身小学校のことなど聞かれないのと同じ。卒論はたいていの人が振り返ると赤面したくなるほど大言壮語をして、大風呂敷をひろげた独りよがりなものである。問題はそれを書く作業(読む、書く、書き直す、読む、書く、書き直すの繰り返し)が苦痛でなかったかどうかだ。