特殊な技能がある人が特殊な職業に就くことはある。プロのスポーツ選手や音楽家などはその例だが、研究者や教育者についてはどうだろう。潜在的にすぐれた研究能力を持っていたとしても、それが示されていなければしかたがないのだから、とりあえずは研究業績が判断材料となるし、それ以前に学位を持っているかどうかが問題になる。
文系、理系を問わず、特殊な事情がないかぎり、博士号を持たない人間が大学の教員になれる機会はほとんどといってない。なので、これが前提条件となる。博士号をとるには大学の学部を出た後に、修士課程(博士前期課程と呼ぶところもある)を終えて、博士課程(博士後期課程と呼ぶところもある)に進み、そこで博士論文を提出する。基本的に学部を4年、修士を2年、博士を3年で取れることになっているが、博士を3年で取る人にはなかなか出会わない。分野によっては間に留学などを挟んで、6,7年かける人が多いのではないか。
それぞれの課程では論文を書く。修士は修士論文を書いて修士号をもらう。博士は博士論文を書いて博士号をもらう。たまに修了年限以内に欠けなくても、単位を満たしていれば、その後数年間提出の猶予が与えられる。猶予というのは、出身大学の学生として論文の審査をしてもらえるということ。
いずれにしても、博士号を持っていることが最低ラインとなる。大学教員になりたいと思う人は、博士号をとらなくてはいけない。とったからといってなれるわけではないにしても。