2097年1月31日木曜日

ごあいさつ

いかなる職業であっても、それになりたいという熱意や信念が重要なのかも知れない。ただ、可能性の低いところにいきなり自分の持ちうるすべての可能性を賭してしまうのはリスクがおおきすぎる、と理性的な人間ならば思うはず。そういう人たちのためにこのブログは存在しています。

おすすめはまず「はじめに」を読んでいただくと良いです。なんとなくこのサイトの趣旨が汲み取れるはず。あとは順に読んで行っていただいてもよいし、必要なところをサイトバーの記事一覧から選んでもらっても構いません。当初はテーマごとにまとめて2017年のエントリとしていたのですが、それ以降(2018-)はアドバイスがメインです。随時更新。似たような話題があるかもしれませんが、それは重要度が高い話題だからと思って寛恕ください。

どうぞよろしくおねがいします。

2097年1月30日水曜日

このサイトについて(使い道)

表題の通り、文系大学教員公募に関心のあるひと、ようするに大学教員になりたいひとに向けたアドヴァイスをまとめたサイト。右側にブログアーカイブがある。(ブログという性質上)時系列順になってしまうのだが、必要な箇所を選んで読んでほしい。すべての記事がそっけない書き方になっているが、ドライに必要最低限のことだけを書きたかったため。

役に立つサイト、励まされるサイト、有益かもしれない書籍

文系で大学教員を目指されるすべてのひとに、健闘を祈ることしか出来ない。狭き門であるし、なってみたら案外つらい仕事かもしれない。研究が好きだったはずが、就職先によっては時間もなくなって本も読めないなんてことだってありうる。それでも就職先があればまだよいほうだ。くじけそうになることが多いが、役に立つサイト、そして励まされるサイトもある。それはたいていの場合教員公募を勝ち抜いた先輩たちの記録であったり言葉であったりメッセージだ。文系に限らず、挙げておく。このブログの書き手自身幾度となく訪れては読んだ。

http://shakeitupbabynow.web.fc2.com/index.html

http://daigakukyouin.blogspot.jp/2012_09_01_archive.html

http://akt37.blogspot.jp/2013/07/blog-post_21.html

http://blog.goo.ne.jp/chemist_at_univ/e/48b37e11dd77ac7f165d8e9b9103f407

書籍については、出版された時期とまた事情もちがうだろうから、必ずしも役に立つとはいえないが、少しでも有益なことがあれば、読んで損はない。体験談を読むというよりも、考え方を学ぶために読むとよいかもしれない。そして、大学教員を目指そうと思った純真な初心を忘れないでほしい。

2022年1月15日土曜日

1,2年でやめると損をする話。

 論理的な人のために書くと、不本意な職場で1,2年我慢するより、本領を発揮できる職場に移るほうがよい。ただし、大学教員でこれをやると、逆効果である。


なぜかというと、大学教員の公募は、あなたが就職する前の年から始まっており、あなたがりしょくする翌年まで続くからである。したがって、1年で就職して、翌年べつの大学に移る(在職中にべつの公募に応募)すると、あなたの在籍期間は2年だが、その大学には4年分のコストをかけている。


これは、隠れたコストなので意識しないかも知れないが、以後あなたは効率の悪い人だという看板をしょって歩くことになる。すくなくとも、まっとうな面接担当者は履歴書のそういう部分に目が行く。なので、「ああ、この人は他人に迷惑をかけながら仕事をしてきた人なのだな」というレッテルを自分からもらいに行っていることになる。


これを避けるには、「そこで働いているヴィジョン」を描けない就職先には、公募の時点でアプライしないことである。これをやる人は、だれも口にはしないが、考えの足りない人というカテゴリーに収容される。結果として、以降数十年にわたって、仕事が減り、収入が減り、評価が下がる。

2021年3月7日日曜日

準備しておいて良かったこと

 公募で面接に呼ばれる段になって、先方の大学について調べることがある。


1)自分のポストの前任者について

どういう人材を求めているのか、という参考になる。もちろん、まったく異なるタイプの教員を求めている場合もある。ただ、大学内部でカリキュラム変更の動きがあっても、それが公になるのは実際のカリキュラムが走ってからなので、予測はできない。結果としては、前任者がどういうタイプの人材であったかを調べることが有意義。

2)自分のポスト部局の他の教員について

自分が所属するかも知れない部局の構成員について調べておくべき。これは、具体的には面接官であり得るし、どういう性格の部局なのか、ということを判断する基準にもなる。また、先方のレベル(受験生から見たレベルではなく、構成する教員のレベル)を知ることができる。あまりにおかしな組成であれば、辞退することもできるだろう。

3)(私立大学の場合)大学の沿革や理念について

これは、聞かれることがあるので調べておくにしくはない。

2019年6月27日木曜日

公募で最適解に至ることは少ない

ほんの一時間、二時間を一緒に過ごした人について、すっかり知ることは難しい。まして面接や模擬授業と言った非日常の機会であればなおのこと。したがって、公募面接を経ても「なんで、あんな人をとったんだろう」と思うケースは多々ある。当の選考にあたった既在籍教員さえ首をかしげるような人材をとってしまうことはある。ここからわかるのは、あなたが行くのにふさわしい大学があなたを選ぶ可能性は低いということである。したがって、自分にふさわしくない環境から身を立てていくしかないのだ。

2019年4月18日木曜日

政治のせいではない

最近、報われずにポスドク時代を過ごし、自殺された方の記事が反響を呼んでいるが、ちょっと考えれば、政治の問題に転嫁するのは正しくない。どれほどいいスポーツ選手であってもプロになれない可能性もある。どれほどいいスポーツ選手になれる可能性を有していても、プロになれない可能性もある。そこはとにかく運なのだ。したがって、どれほど努力を重ねても最終的に運で決まってしまう職種を選んだ時点で、フェアだったかどうかを問題にするのは間違っているし、それは政治のせいではない。政治が介入して多くのポストが生まれたとしても、同じ状況は発生する。なりたいからといってなれるとはかぎらない博打に一枚かんだ時点で(大学院博士課程に進んだ時点で)「自己責任」というほかないのだ。

無論優れた研究者が職を得るべきだと思うが、優れた研究者の基準は千差万別なので、そんなことを問題にする方が間違っているのである。

2019年4月9日火曜日

大学とは集合

どれほど優秀な学者であっても、あるいは教育者であっても、組織の中で仕事をするという意識が希薄な人は歓迎されない。なぜなら、個々人のスキルや教養や知識をいったん無に帰して一緒に仕事をさせる仕組みが学科なり学部だからである。

表層的には、意に沿わぬ場合でも仕事をさせられるということがある。これはどこの職場でもいっしょ。

水面下では、自分以外の誰かと一緒に仕事をして、それなりの成績を残さなければならないということ。これは、大学が集合であるということ。

不祥事が起こった大学の評判は下がる。その時に、個々の教員の能力は一切勘案されない。同様に、個々人の能力たる者、大学という組織の中に組み込まれたときに、集合としてのそれになってしまう。では集合としての能力とはどういうことか、というと、故人のレベルに落とし込むなら:

1)顧客(学生)に対するサポート力
2)組織(所属する学部学科)の存続に寄与する能力

である。

2019年3月20日水曜日

年度末に思う

年度末にもなると会議ばかりが続く。大学は学生が入っては出ていく入れ物なので、それにかかわる案件が多くなる。教員もまた、もっとゆっくりとでは出たり入ったりする。入る方にばかり注意が向いているだろうが、たとえばよその大学に移る可能性もあろう。そういうことを踏まえて、どれくらいの期間その場所にいるかを考えてみるといい。固定ポストを得たばかりであれば、一生ここにいようと思うかもしれないが、次第に不満も募るだろう。なので、10年やそれくらいのスパンでステップアップすることを目標に過ごしてほしい。できれば、職位をひとつあげて新しい場所へと移ってほしい。

2019年3月12日火曜日

最初の数年

一般企業でも同様だが、最初の数年(2,3年)は仕事や環境に慣れるのに苦労するので、実質的には大きな仕事をしていない可能性が高い。授業に関しては、この期間に基礎体力をつけることが大事だが、それ以外の業務については、いろいろなところにかかわりを持つと良い。頼まれた仕事は極力拒まないこと。とくに「忙しいので」といって断らないこと。なぜなら、周囲の人はあなたよりもずっと忙しいのだから。ではなぜ仕事にかかわりを持つと良いかというと、それで自分の置かれている環境についての自分なりの見取り図が(経験から)構成できるから。そうすると、仕事の進め方についてさまざまなヒントやティップスを得ることができる。案外知らないとそんなコツもあるはずだ。